2011年の9月に地元企業を退職した那須塩原市の薄井静雄さん(61)が、多くの人に食べてほしいと「煮卵」で定年起業した。名付けて「じーちゃんの煮たまご本舗」。地元スーパーや道の駅などに販路を確保、順調に売り上げを伸ばしている。
栃木県那須町伊王野出身の薄井さんはブリヂストン栃木工場などに勤務。57歳で退職後、約4年間、同社栃木、黒磯、那須工場などを管轄する那須グループ生活協同組合に務め、専務理事で定年を迎えた。
若いころから料理好きで、自慢の日本料理を同僚らに振る舞っていた。社員旅行で訪れた群馬県草津温泉で食べた温泉卵に「これに味を付けたらもっとおいしい」と、15年ほど前から自宅で作り始めたという。
9月の退職前から準備を始め、10月から本格生産に入った。店舗名は、44歳で初孫ができ会社で「じーちゃん」と呼ばれていたことから付けた。厨房は自宅庭に設置した小さな物置。ガス台、流し台、冷蔵庫を取り付けた。
卵は大田原市内(「那須御用卵」の稲見商店)から仕入れ、寸胴鍋で1日300個~600個の卵をゆでて殻をむき、しょうゆ、日本酒などを使った自慢のたれと日高こんぶで煮込む。朝夕各3時間強の二度煮が味の決め手だ。
納品先は県北に12店舗を構える食品スーパー・ダイユーや道の駅「明治の森・黒磯」、ロコマーケット、国際医療福祉大の売店などで、2個入りで販売。ラーメン、ご飯のおかず、おやつに人気という。
売れ残りもほとんどなく「ようやく軌道に乗ってきた」と薄井さんは喜ぶ。-2011.11.07新聞朝刊-
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