福島県大沼郡三島町の荒屋敷遺跡において、縄や籠の編み組等の断片が発掘されており、縄文時代より編み組の技術・技法が存在したことが明らかとなっています。「会津農書」には、会津地方において野草の縄をもって籠を作っていると記されており、「東遊雑記」には、現在の三島町近郊において山菅(ヒロロ)を材料として蓑などの編み組細工が作られていると記されています。また「伊那伊北谷四ヶ組風俗帳」には、マタタビの蔓を細くして「笊」を作り、山ブドウの皮で袋網(籠)を作っていたと記述されていることから、この時代においても、ヒロロ細工、マタタビ細工、山ブドウ細工が日常の生活用品として作られていたことがうかがわれ、今日まで受け継がれています。
現在では、三島町を主な産地とし、ヒロロ、山ブドウ、マタタビ素材とした手さげ籠、抱え籠、肩かけ籠・菓子器・炊事用具などが作られています。自然素材を用いた堅牢で素朴な手編みの良さが特徴です。
三島町においては、昭和40年代から高齢化により、編み組細工製造従事者が減少していることから、数百年来受け継がれてきた技術・技法を維持・伝承するとともに自然との共生を目指す生活工芸品を地域産業として振興し発展することを目的とし、編み組細工の技術指導、品質管理、需要開拓等の『生活工芸運動』を重点施策として推進してきており、今日では従事者数も増加してきてます。
今日は、奥会津三島編組品振興協議会の工人の方3名が、作品紹介ということで、ご協力を頂けることになり、お伺いした。またたびの米研ぎ笊とヒロロのショルダーバッグ、そして山ブドウ籠の3点であるが、私にとっては、ひじょうに貴重な商品である。
毎年行われている工人祭で、いろいろの作品を拝見したが、その素朴なそして丁寧緻密に編みあげた伝統品は、技術的にも優れており、経済産業大臣指定伝統工芸品に認められている。美智子皇后様もひろろのバッグを求められており、手触りや形とも美しいものである。ぜひ、私のネットでご紹介したいと以前よりお願いしていたが、協議会の有志の方が、商品を提供してくれることになった。
手仕事は、作り手のセンス「向き不向き」が、大きく関係する。今回の3人は、その筋の名人であるが、名前をださないことを条件に3工房としてアップした。注文が来過ぎて困るからとのこと。仮に三島太郎、次郎、花子としておきたい。 |