下野・会津・津軽地方に連綿と伝わる匠の技術がつくる 手仕事・伝統的工芸品、民芸品 専科
 初音(はつね)の使い方  ※資料提供:山田民芸工房

 初音という言葉は、すごく日本的な響きがあります。私の知っている女性に「初音」という名前の方もあって、言葉は知ってはいましたが、今回、山田さんから初音の縁起を伺って、初めて知ることが出来ました。
 ウグイスの声にそっくりな初音の音色は、春を告げると同時に幸せを招くといわれ、かつては正月元旦のまだ明け切らない暁の中を初音売りが売り歩いたといいます。元朝参りの人々のざわめきと初音売りの「ハーツネ、ハツネ」の呼び声は、会津の正月風景のひとつとして長く人々に愛されてきたといいます。初音は春を告げ、幸福を招く鳥笛として、初音は昔ながらの素朴な竹笛で、起き上がり小法師・風車とともに会津三縁起と呼ばれる正月の縁起物です。
 今では作る人も少なくなったという初音ですが、正月の三が日は神棚に飾り、その後は子どもたちの玩具になります。

■写真左のように持っていただき、糸が結んである所から、少し強めに、吹いてください。
 人差し指を離したり、付けたりすると、音が変わります。中心に開いている穴は、ふさがないで下さい。

 これもテクニックがあるようです。私も初めは音が出なかったのですが、強めに吹くと大きな音になりました。音色にするには、人差し指の開け閉めの微妙なところが、コツでしょうか。ぜひ、お正月に求めて試してみてください。
 かつての会津の方々の春を待ちわびる気持ちが、分かるように思います。
 
 初音の作り方
 初音は、竹で作る素朴な鳥笛です。まず直径1.5cmほどの細竹(篠竹)を10cmぐらいに切ります。組み合わせた形で切り出すことで1本の竹から2つの笛を作り出すことができます。竹を無駄なく利用するための職人の知恵です。切り出した竹の周りを削り、吹き口を割ります。割った部分にくさびを挟み込み、穴をあけて完成です。
             
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