イラストレーター 布弥 (麻墨・麻和紙・麻クレヨン) |
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[古神道(こしんとう)] 外来の影響を受ける以前という意味での古神道とは「原始宗教の一つである」ともされ、世界各地で人が社会を持った太古の昔から自然発生的に生まれたものと、その様相はおしなべて同様である。 江戸時代に発達した復古神道の流れの国学において、古神道という概念が初めて提示された。当初の定義では「記紀などの古典に根拠を置き儒仏の要素を混じえない神道」が古神道、「記紀などの古典に根拠を置かず儒仏思想を混じえた神道」が俗神道であるとされ、古神道と俗神道が対概念であった。 近代以降、歴史学において仏教伝来以前の神道を純神道と呼んだが、その後、おもに人類学のほうから原始神道という呼び方がされるようになった。これは原始キリスト教や原始仏教などという用語に倣ったもので、より学問的で中立的な表現とされた。 しかしさらに後、神道という枠組み自体が仏教や儒教と対抗的に歴史的に形成されたものであるという説に依拠して、現在のいわゆる神道の実体または核心が儒仏以前に遡るという発想には疑問がもたれ、新たに神祇信仰(または神祇崇拝)という言い方がされるようになった。これは古代の特定の民族の宗教でありながら特定の名称をもたない多神教が、例えば「古代ギリシア人の宗教」とか「古代エジプト人の宗教」などと呼ばれていることに準拠した表現でもある。 以上の用語はほぼ同義であるが、しいていえば微妙なニュアンスの差異がある。それは、古神道という用語は、純粋に学問的な手法による研究にしろ、宗教的または神秘主義的な手法にしろ、ある一定の体系だった世界観がかつて存在し、かつそれが本来の神道であったという予感のようなものを前提としており、これに対して神祇信仰という用語は、かつて存在したのはいわゆる神道と呼ばれるべきものとは別であったことが学問的な研究の結果わかるはずという信念を前提としている。これらに対して原始神道は、不可知論または未知の立場である。むろんこれらは微妙なニュアンスの問題で、実際にはほぼ同義の言葉である。 仏教でいう根本仏教・原始仏教・初期仏教という言葉の差異にあてはめると、古神道が根本仏教、原始神道が原始仏教、純神道が初期仏教のニュアンスにそれぞれ近く、神祇信仰に該当する仏教の言葉はない。また通俗書などでは「縄文神道」という言葉もみられるが、かなり意味が狭く限定されてしまうのと、学問の進歩とともに縄文のイメージが変化していくため恣意的なニュアンスを賦与されがちであり、専門用語として熟した言葉ではない。 |